自動車用バッテリー再活用ガイド:点検方法と劣化の診断

自動車用バッテリーは、車で使えなくなったとしても、その蓄電能力自体はまだあることが多いです🔋
通常は廃棄される自動車用のバッテリーを再活用すると、オフグリッド太陽光発電の初期投資の価格を抑えることが出来ます!😀

ただし、適切に運用しなければ、やはり事故や故障の原因になることも事実です。
この記事では、そういった自動車用バッテリーの適切な運用の仕方、また定期点検の方法、劣化したバッテリーの見極め方などをご紹介したいと思います📝

文章ではなく、実際に解説している動画を見たい方は、こちら↓↓

バッテリーの再活用の重要性

太陽光発電等のオフグリッド発電のコストの8割程度は、バッテリーの価格です。
バッテリーが一番高価になります。
そのため、バッテリーをいかに安く手に入れるかが、オフグリッド発電の価格を抑えるカギとなります。
そこで私達が考えたのが、使われなくなった自動車用バッテリーを再活用する方法です!

廃バッテリーを活用することで、大幅に価格を抑えることができます。

廃棄される自動車用バッテリーを活用したソーラーEV充電システム

自動車用バッテリーの構造

まず、必ず知ってほしいことがあるので、一番はじめにお伝えします。

それは、自動車用バッテリーの中の液体ですが、この水のようなものは、実は、希硫酸です。
希硫酸は服などに着くとボロボロになったり、目に入ると失明するので大変危険です。
点検時に手についたりした場合はすぐに大量の水で洗うようにしましょう。

バッテリーの中身は希硫酸

また、バッテリーの中には薄い鉛の板がたくさん入っており、それらで酸化還元反応を行って電気を蓄えたり、放電をしたりしています。

開放型と密閉型

自動車用バッテリーには大きく分けて、開放型と密閉型があります。
密閉型は「メンテナンスフリーバッテリー」とも呼ばれます。
下の写真が密閉型の例です。

密閉型のバッテリー

メンテナンスフリーバッテリーは名前の通り、バッテリー液の補充が不要です。

自動車用に用いる場合は、一見、とても便利ではありますが、密閉型は急速充電には向かないため、ソーラーEV充電システムでは使用できません。
注意しましょう。

下の写真が開放型の例です。

開放型の自動車用バッテリー

開放型でもキャップの形状が違うものもあります。

キャップの形状をした開放型のバッテリー

バッテリーのキャップの開け方

バッテリーのキャップはプラスドライバーなどで外せそうですが、下の画像のように5円玉を使うととても開けやすいです。

バッテリーの蓋は5円玉を使うととても開けやすい

”40B19L”などの表記の意味

”40”は性能を示す数字です。26~245の数字で表されています。

性能ランク5時間率容量(Ah)
2621
2824
3427
3628
3828
4434
4636
4840
5040
5536
5548
6036
6556
7052
7552
8055
9580
10583
11588
13092
145112
165136
190160
210160
245176

”B”は短側面のサイズです。A~Hの順に大きくなります。

短側面のサイズ

”19”は長側面の長さです。単位はcmです。
19ということは19cmあるということを意味しています。

長側面の長さ

”L”は端子の向きです。
プラス端子側から見て、プラス端子がバッテリーのどちらに配置してあるかを表しています。
”L”であれば左側に位置しているということです。

端子の向き

自動車用バッテリー点検の準備と注意点

それでは、バッテリーの点検方法の解説に入っていきます。
点検をすることにより、小さな異常や劣化を見つけることが出来、性能をしっかりと発揮できるようになります。
また事故につながらないようにするためにも重要です。
点検を定期的に行い、安全に運用していきましょう。

必ず注意してほしいこと

バッテリーのプラスマイナス端子を金属のもので繋ぐと、火花が出て、ショートします!
状況によっては、金属のものが真っ赤に発熱したり、爆発の危険性もありますので、注意してください。

バッテリーの端子同士を金属のもので繋がない

上記のような事故をさけるための具体的な対策としては、以下の通りです。

  • 金属のアクセサリーを身に着けて点検をしない。
  • 片方の端子に絶縁物(布など)を被せて端子を露出させないようにする。
  • 絶縁工具を使う。
  • 金属の工具をどうしても使いたい場合は、工具の片方に絶縁テープを巻いて絶縁させる。

細心の注意を払って点検を行いましょう。

バッテリーの点検のために必要な工具や装備

以下にバッテリー点検に必要な標準的な工具や装備を記します。

  • 保護用のメガネと長袖と手袋を着用
  • ledライト
  • デジタルテスター
  • 捨ててもいい布
  • プラスドライバー
  • 12mmスパナ
  • ナイロンテープ
必要な工具や装備

バッテリーの点検方法

自動車用バッテリーの再利用を行う上で、点検作業は重要なポイントです😀
事故を未然に防ぐため、長持ちさせてコストを抑えるために点検を行いましょう。

バッテリーの点検は主に4つあります。

  • 液面の点検
  • バッテリー液の濁りの点検
  • ターミナル端子の緩みと配線の緩みの点検
  • 電圧測定による点検

それぞれ、解説していきます。
また、ソーラーEV充電システムのように直列で4つの自動車用バッテリーをつないでいる場合は、単体のバッテリーごとに行うようにしてください。
その際、配線は外さなくても大丈夫です。

液面の点検

まずは、バッテリーの中の希硫酸の液面の点検から始めます。
液面がアッパーレベルとロアーレベルの間にあることが重要です。
多過ぎても少な過ぎてもいけません。  
少な過ぎると最悪、爆発するような事故にも繋がるので、ロアーレベルは必ず守りましょう。

液面の点検

液面が見えにくい場合、バッテリーの背面からLEDライトで照らすと液面が分かりやすくなります。

LEDライトで照らして液面を見やすくする

ロアーレベル以下の場合は、下記に示す、バッテリー液を補充する作業を行う必要があります。

バッテリー液の濁りの点検

バッテリーの中身は希硫酸

バッテリー液である希硫酸に、にごりが見られないかの点検も行います。
もし濁りがあれば、すぐに交換をしましょう。

ターミナル端子の緩みと配線の緩みの点検

ターミナル端子とは、バッテリーのプラスマイナスの端子に取り付けられている電線を接続するための部品です。

ターミナル端子

このターミナル端子が緩んでいないか手で動かせないぐらいに固定されているかを確認します。

緩みがある場合は12mmのスパナで写真のように締め付けます。

ターミナル端子を締め付ける

このターミナル端子に取り付けてある配線にも緩みがないかを確認します。
緩みがある場合は取り付けボルトを締め付けます。

配線の締め付け

電圧測定による点検

まず、電圧測定による点検を行う場合、正確に判断するためには、放電や充電をしていない状態から、2時間以上経過させる必要があります。
点検の2時間以上前にブレーカーを正しい手順でOFFにして、充放電しないようにしておきましょう。

ここでは、デジタルテスターを使って、測定を行います。

私は軽量で、場所を取らず、信頼がおける国内メーカーということでこちらを愛用しています。

デジタルテスターの直流電圧を測定するモードに設定します。

プラス側に赤のリード線があるテスター棒を当てて、マイナス側に黒のリード線があるテスター棒を当てるとそれぞれの端子間の電圧が測れます。

電圧を測定したら以下の表を元にバッテリーの劣化具合を判断します。

自動車用バッテリー電圧でのバッテリーの状態の診断目安
電圧範囲バッテリー状態
13.5V以上障害の可能性あり
13.0V~13.5Vとても良い状態
12.9V~12.5Vまぁまぁの状態
12.4V~11.4V弱っている状態
11.3V以下交換推奨時期
*放電や充電をしていない状態から、2時間以上経過後にバッテリー単体の電圧を測定

その他の点検

自動車用バッテリーの点検には、その他にも「比重計での点検」があります。

しかし、比重計を購入しないといけなかったり、希硫酸を吸い出すような作業を行う必要があるため一般の方には向かないと思いここには掲載をしておりません。


バッテリー液の補水(補充)作業

液面の点検のところで行ったように5円玉を使いキャップを外しておきます。

バッテリーの中身は希硫酸

繰り返しになりますが火気厳禁です。

専用のバッテリーの補充液を使います。
水道水は劣化の原因になるため絶対に入れないようにしてください。

バッテリー補充液はAmazon等でも300円程度で売っています。

補充液での補水作業

写真のように、補充液を入れます。
入れすぎると吸い上げるのが大変なので、絶対に入れすぎないようにしてアッパーレベル付近までバッテリー補充液で補充します。

入れすぎた場合はスポイトなどを使い吸い出して、新聞紙などに吸い込ませ、自治体の指定する廃棄方法で廃棄します。


バッテリーの劣化具合の見極め方

自動車用バッテリーの再利用をしたとしても、いつかは来るのがバッテリーの寿命。
では、この寿命はどのように見極めればいいのでしょうか?


バッテリーの劣化具合を見極めるためには、以下の点を確認します。

  1. バッテリーの側面が膨らんでいないか
  2. バッテリーターミナル端子の周りに白っぽい粉が吹き出ていないか
  3. バッテリーの電圧が適切か(充放電をしていない状態で、2時間以上放置した状態で測定)

これらの点を確認することで、バッテリーの劣化具合を見極めることができます。

バッテリーの側面が膨らんでいないか

見た目では分かりにくい場合でも触って膨らんでいるのを確認できる場合は交換をした方がいいです。

中の鉛の板が劣化することによって膨らんでくるので、劣化したバッテリーは、このように側面が膨らみます。

バッテリーターミナル端子の周りに白っぽい粉が吹き出ていないか

サルフェーションの痕跡

写真のように青白っぽい粉が吹き出してきている場合は交換した方がいいです。

サルフェーションという劣化の現象により吹き出てきます。

また、下の写真のようにキャップ回りに白い粉が付着している場合は、過充電した可能性が高くなりますので、そういった場合も交換を考えた方が良い一つのポイントになります。

過充電の痕跡

バッテリーの電圧が適切か

点検の項目で測定した時と同じように、2時間以上放置した状態でのバッテリー単体の電圧を測定して、表を見ながらバッテリーの劣化具合を診断します。


バッテリーを長持ちさせるためのヒント

自動車用バッテリーの再利用を行う上で、できるだけ長く使う方がコスト的に有利なのは言うまでもありません。
ここでは、寿命を長持ちさせるためのヒントを4つ、ご紹介します。

  • 過放電を避ける
  • 大容量の放電を避ける
  • バッテリーの設置場所を適切に選ぶ
  • 発熱を監視する

過放電を避ける

過放電はバッテリーの寿命を著しく縮める要因の一つです。
過放電が起こると、バッテリーの電極にダメージが生じ、蓄電能力が低下します。

特にソーラーEV充電システムを使用している場合、使用後は必ずブレーカを落とすようにしましょう。ブレーカの操作方法については、関連動画(ソーラーEV充電システムのブレーカーお落とし方)を参照してください。

大容量の放電を避ける

バッテリーの寿命を長持ちさせるためには、大容量の放電を避けることも重要です。
EV充電は基本的に800Wか、10Aの1000Wまでに抑えることをおすすめします。
大容量で放電すると、バッテリーにダメージが出てしまうため、使用する電気は可能な限り低く抑えることが望ましいです。

バッテリーの設置場所を適切に選ぶ

バッテリーの設置場所も寿命に影響を与えます。
日が当たらない場所、熱くならない場所、通気性が良い場所に配置することが理想的です。
また、昼夜の寒暖差が激しい場所も避けましょう。

発熱を監視する

バッテリーが過放電や過充電になると発熱する傾向にあります。

この発熱を監視することで、バッテリーの状態を把握し、必要な対策を講じることができます。

具体的にはマスキングテープとフリクションライトという文房具を活用して発熱を監視する裏技があります。

フリクションライト法

この方法について詳しくは、こちらの「劣化したリチウムイオン電池を簡単に低コストで見分ける方法」のブログに書かれているので、ご覧ください。


これらの点を守ることで、バッテリーの寿命を延ばすことができます。


以上、自動車用バッテリーの再活用と適切な運用方法についての記事でした!
いかがだったでしょうか?
自動車では使えなくなった、車のバッテリーの再利用先にオフグリッド発電は最適です。

日中の
バッテリーの適切な運用と管理により、オフグリッド発電の価格を抑えることができます。

この自動車用バッテリーを活用したソーラーEV充電の動画はこちらです↓
ソーラーEV充電システムで電気代をゼロに – 組み立てから運用までの詳細ガイド


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